流行語から見る中国社会~月光族~


アジアの時代の中心として、高い経済成長率を誇り大きな変化を遂げる中国で、80後(バーリンホウ)、90後(ジウリンホウ)をはじめとした、新人類と呼ばれる世代が現われました。今回はそこからさらにもう一歩足を進めて、中国の流行語から、“中国の今”を知るヒントをご紹介したいと思います。


【中国の新人類】
中国には○○族という区分で、時代の変化に即して現われた新しい特徴を持った人々を分類する流行語が数多くあります。たとえば、蟻族、啃老族、上班族、光棍族、哈日组、月光族など、挙げていけばきりがありません。
その中で今回は月光族(Yue Guang Zu)※ユエグワンズゥと発音します。
についてご紹介したいと思います。

【月光族とは?】
月光族とは、中国の若年層に特徴的な月給を使い切ってしまう人々のことを指します。
「将月薪花光」つまり、月給を使い切るという意味の言葉の省略語です。
多くの場合否定的な印象を与えることが多いようで、いかに月光族から脱出するかといったハウツー本も販売されています。

【月光族現象の背景】
自由な消費生活を志向する人々が月光族と呼ばれる一方で、給料が低いため貯蓄することができず、仕方なく“月光族”になってしまう人々もいるようです。この背景には、物価上昇が挙げられます。



【月光族の特徴】
1旺盛な消費欲求
中国人観光客の日本での高級炊飯器をはじめとした電化製品の大量購入等で、中国人と言えば富裕層の旺盛な消費というイメージが持たれがちです。
しかし、月光族は物質的欲望の充足のための消費ではなく、全く異なる消費動機があるようです。高い消費意欲は富裕層と共通する点ですが、月光族は消費以上にお金を稼ぐことを重要であると捉えており、消費を自らの給与水準向上の動機としている点が特徴的で、稼ぐために消費するといった一面があります。

2貯金しない
名前の通り、給料を使い切るので貯金はしません。
30日単位で金銭管理をし、大金は30日以上持ちません。
そして一か月以上お金があまりにもない状態にはならないようにします。
月光族は働くために消費します。そして、この金銭管理の波が彼らの原動力なのです。

3クレジットカードの利用
クレジットカードの利用に関しては、1992年の日本の流行語“カード破産”に見られるように、日本にも以前同じような問題がありました。
中国にも自分の収入を超える消費をする若者はおり、彼らはクレジットカードや消費者金融を利用しています。日本では厳しい利息上限が設定されているため、中国をはじめとしたアジア新興国に舞台を移して大きな利益を上げている日系消費者金融機関も存在します。業績は好調なようで、駐在員コミュニティの中では、一番良い家に住んでいるのは消費者金融関係だと言われています。

4流行に敏感
ファッションからライフスタイルまで新しいものに敏感です。
貯蓄重視の伝統的価値観から、今を生きるライフスタイル。
巧みなマーケティングを駆使して商品化された流行の小物や、最新ファッションの購入欲求から月光族は逃れられません。

【終わりに】
中国ビジネスにおいては、これまでの高所得者層をターゲットとしたモデルから、中・低所得者といった次の時代の潜在顧客をターゲットとしたモデルへの転換が日系企業の課題とされています。そのうえで、○○族という分類は中国市場特性を理解するうえでの一つの指標となりえます。特に今回の月光族に関しては、消費意欲が旺盛という点で、市場の発展を促進している存在であると考えられます。しかし、月光族は経済成長やキャリアアップを前提としたライフスタイルなので、長期的にこれを維持していくことは難しいでしょう。中国経済成長の中心を担う月光族が今後も消費を維持していけるのか、今後も月光族の動向には要注意でしょう。




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