中国人採用企業の二極化 -オフライン採用延期とソーシャル採用の胎動-


反日デモの影響で現地での大学内説明会、選考会を中止する動きが広まっています。
オフラインでのイベントが時期的に厳しい中、ソーシャル採用という新しい手法を用いた企業の採用活動が注目されています。
13卒の中国人採用をあきらめるか、優秀な学生を積極的に採用するか、グローバル人事担当者様は大きな決断を迫られています。

【説明会中止の背景】



尖閣諸島問題に起因する中国大陸での反日運動が、日系企業の採用活動に影響を与えており、現地での合同説明会といった、日系企業の就職イベントにも影響がでています。SONYの北京での説明会は実施されず、大学内合同説明会は直前になっての中止連絡が行われ、某大手総合商社も中国人採用の延期を決定しました。

これは中国側が直接禁止しているのではなく、日本関連のイベントを開催することによって生じるかもしれないトラブルを回避するためだと考えられます。日本企業は中国で1000万人の雇用を生み出しており、日本企業に撤退されると中国側としては無視できない数です。

当局がデモを黙認若しくは扇動し、憤青と呼ばれる怒れる若者が中心となり、デモで日貨排斥を叫ぶことで日本企業が撤退し、職がなくなってしまったら、愛国行動が結果として中国人自身を苦しめることになります。
この流れで日本企業が撤退してしまうと、当局に批判が集中してしまうため、実際には当局による、制度上グレーゾーンの諸費用の追加徴収という嫌がらせの対応がとられているようです。

【中国から撤退せよ?】

中国の物価上昇や、対日感情の悪化を理由に中国撤退、中国+1の時代だ、と多くのメディアでも取り上げられています。
確かに”世界の工場”としての中国はかげりを見せ始めており、実際、安価な労働力を求めて中国市場に参入した企業の中には、すでにベトナムをはじめとした東南アジアに工場を移転した企業もあります。
また、今回の日中関係悪化に乗じて、フィリピンが税制の優遇による日本企業誘致の構えを見せており、同様の政策でますます製造業における脱中入亜の動きが進む見通しです。

しかし、経済成長に伴い、可処分所得が増加し、中国人の旺盛な消費意欲はますます盛り上がりを見せています。
それを踏まえると、日本企業にとって今後必要な人材は、中国を熟知した、共にアジア事業を展開していく優秀なホワイトカラー層なのではないでしょうか?

【企業と学生の本音】

敏感な時期にトラブルは避けつつ、優秀な学生を採用したいという悩みを抱える企業と、日本企業に就職したいけれども、学内説明会の中止でチャンスを失い途方に暮れる学生。一般的に学生集客では、大学内でのポスターや横断幕掲示、ビラ配りで集客を行いますが、今回の反日運動で、ここに大きな変化が現われます。トラブルを避けるために本来強みであるはずの日本ということを大学内ではアピール出来ないのです。

現地での採用活動にあたって
・イベント自体でトラブルが起こる可能性
・学生の自粛による集客の不安
・フライト数減少
・担当者の安全確保

これらすべての根幹にあることは、何かあったら困る。つまり、トラブル回避のためであると言えます。
学生は大学内説明会以外の場での就職活動を余儀なくされ、企業側は新しい採用チャネルの可能性を探っています。

わざわざ現地の中国の合同説明会・選考会に足を運んでも、反日デモの影響で、上述の通り例年ほどの学生集客が見込めません。
日本語学科の学生は日本企業への就職意欲は高いですが、敏感な時期ということで、日本との関わりを自粛する学生もいるようです。
このあたりの個人としての政治的な判断は、現地的な微妙な線引きが存在します。こういった文化的差異があることは是非覚えておいて頂きたいところです。

 

 

【オフラインからソーシャルへ】


さて、では中国人学生はどこで出会えるのでしょうか?大学外のイベントに行けば出会えるのでしょうか?中国語版採用ホームページを作成すればよいのでしょうか?

日本の就活では、縁故採用→紙媒体就職情報誌→ポータルサイトという変遷を経て、現在はソーシャルリクルーティングと呼ばれる新しい採用手法が多くの企業で取り入れられ、画一的な就職活動から、次の段階へと移行し始めています。

一方中国では、この就職活動の変遷が、就職ポータルサイトによる画一化というプロセスを飛び越えて、次の段階であるソーシャルな就活へと移行し始めています。中国ではそもそも、画一的な”シューカツ”は存在せず、就活時期としては、9-11月の前期就活期と3-5月の後期就活期に分かれます。
そのため、日本からすると比較的自由な形で、就職活動が展開されています。時期を問わず企業に対して直接履歴書を送付したりする例は日本ではかなり少数ですね。

2013年卒の中国人学生をいかに採用するか?キーワードは”いつものデスクで”です。

中国のインターネットユーザーは5億人を突破し、中国人学生は毎日活発にオンラインで活動しています。
特に微博や人人網といったSNSの利用が盛んで、若者はスマートフォンを片時も手から離しません。

そして現在すでに、中国人学生が集うプラットフォーム上で学生が就職活動ができるという状態になっています。
これは企業側、学生側にとって相互にメリットがあり、日本・中国のみならず、世界の採用が変化しつつあります。

採用のソーシャル化による変化として以下の事柄が挙げられます。

企業
・ブランディング
・求人プロモーション
・求職者リサーチ

学生
・いつも利用しているSNS上で情報収集できる
・分からないことがあると気軽に質問できる

SNSの登場による情報のパラダイムシフトは、すでに就職活動の領域にまで影響を与え始めているのです。

【中国人採用はいつものデスクで】

インターネットをはじめとした技術革新によって、今まで高いコストをかけて中国で面接をしていたものが、”いつものデスクで”中国人採用が可能になりました。中国人学生とのコミュニケーションから面接まで、オフライン→オンライン→ソーシャルという流れが今後も進んでいくでしょう。

オフラインでの就職イベントの効果が限定的な今、中国人採用担当者は決断に迫られています。

【中国でのソーシャルリクルーティング例】

某日系IT企業

対象:超トップ層エンジニア
告知期間:10日間

72名応募
35名  中国トップ7校のソフトウェア関連専攻学生。
15名  985工程211工程に指定された重点大学のソフトウェア関連専攻学生。

トップ校のソフトウェア関連専攻の中国人学生で、日中英の三カ国語も話せる学生も少なくありません。

日本の大学生の内向き志向が叫ばれる中、現地に通じたアジア事業展開のパートナーは、トップ大学卒業の能力とネットワークを備えたローカル人材であることは間違いないでしょう。




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